北区志茂、荒川と隅田川の分岐点にたたずむ「岩淵水門」は、治水の歴史を物語る貴重な存在だ。かつて「荒ぶる川」として東京・下町などに何度も洪水を引き起こした荒川に技術者らが立ち向かったことで今の大都市の発展がある。かつての「赤水門」と、現在も稼働する「青水門」の2つの守護神が、約100年にわたる合戦場を見渡している。 旧岩淵水門=5月、北区志茂氾濫から人々守る東京メトロ南北線の赤羽岩淵駅から北へと住宅街の路地を抜け、荒川の堤防へ上ると、広々と視界が開ける。荒川と隅田川の分岐点―ここに、2つの巨大な水門が並ぶ。約100年前に完成し、大正から昭和にかけて活躍した赤い旧水門と、現役の青い新水門。対照的な色彩のそれらは、あたかも語り合っているかのように見える。 荒川下流河川事務所の副所長、杉山直史さんと、地域連携課係長の大内真央さんが、その歴史を紹介してくれた。 全長173キロ、平均川幅1500メート
