GRヤリスといえば「モータースポーツからのクルマづくり」というトヨタの新機軸でデビューしたクルマだ。ラリー車になった時のリヤウィングへの風の当たり方を考慮して市販車のルーフラインを決めるといった、従来あり得なかった作り方で設計されている。 考えてもみてほしい。ヤリスは、われわれが日々街を走っていて、そこら中でうじゃうじゃ目にするクルマだ。厳密にいえば3ドアと5ドアで少しボディが違うが、とはいえ全く別物というわけではない。基本は安いレンタカーを借りた時に出てくるクルマだ。「超」が付くポピュラーカーである。そんなクルマが、企画段階からモータースポーツのためのデザインを取り入れるなんてことがあり得るだろうか? まあ今更騒いでも仕方がない。現にそういうクルマとして生まれて、ちゃんと普通に愛されて、あろうことかBセグで一番売れているのだから文句をいっても始まらない。 要するにトヨタは、市販車と競技車