江戸時代は旧松前藩の城下町として栄え、北海道の郷土料理「松前漬け」の発祥地でもある北海道松前町。北海道最南端の町は、国内の多くの過疎地と同様に人口の高齢化と減少という課題に直面している。主力の漁業は漁獲量の減少が続き、春には桜の名所として多くの観光客を集めてきた観光業も新型コロナウイルスの影響でふるわない。そんな町が「風車と牛」を地域再生の起爆剤にしようとしている。その挑戦は国連のSDGs(持続可能な開発目標)の達成にも通じるものだ。 北海道初の「蓄電池併設型」 巨大な風車の下でのんびり草をはむ牛の群れ――。のどかな風景はアルプスのようだが、ここは松前町の市街地からやや離れた日本海岸沿いにある地域である。高さ約100メートルのタワーに長さが約50メートルの樹脂でできたブレード(翼)が3つついた巨大な白い風車は独シーメンスグループ製だ。松前町には東急不動産が設置したこれら12基の大型風車のほ