建築関連の本は数あれど、建築家本人がどんな本にインスピレーションを受けて自身の仕事につなげているのか、少し気になりませんか?そこで、第一線で活躍している建築家に、影響を受けた本について教えていただきました。今回は、自然と建築の関係をさまざまな作品で表現されてきた、建築家の中村拓志さんです。 中村拓志さんが影響を受けた本:James Turrell: A Retrospective「建築とは光のなかに現れるもの」と悟った一冊 ――どんなところに影響を受けましたか? タレルの作品は、体験しなければわかりません。光の状態そのものが作品であり、体験によってそれは完成するのです。 そのことを知ったのは、1998年の世田谷美術館での彼の個展。図録を何度も読み返し、 光を物質のように扱う手法や知覚の仕組みへの探究心を学びました。建築は動くことができなくて、変わることがない。重くて場所を占有し、形や物質的