ある社会でもっとも背の高い建物を見れば、その社会がなにに支配されているのか分かる――。これは神話学者ジョゼフ・キャンベルの言葉だ。中世ヨーロッパの街なら教会の尖塔、現代の都市なら商業施設、ニューヨークなら金融業者のテナントしたビルだ。科学的根拠はないけれど、なかなか示唆的でおもしろい話だと思う。 たとえば奈良時代の日本ならば、東大寺の大仏殿が思い当たる。当時の施政者は宗教の力で国を支配しようとした。 また、かつて江戸城には勇壮な天守閣があった。しかし明暦の大火(振り袖火事)で焼失し、以降、再建されなかった。冲方丁の小説『天地明察』では「天守閣のない江戸の空」が、新しい時代の象徴として描かれている。言うまでもなく天守閣は軍事施設だ。戦の時代の象徴だ。開府から54年、天守閣が消えたことは、天下泰平の世が揺るぎないものになった証拠だった。そして江戸の町は火の見やぐらの時代へと突入していく。 背の
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