ラストスパートの参院選で憲法改正の是非が焦点になるなど、国民の暮らしや安全を支える法令の中身については議論が尽きない。 しかし、もっと身近な共同体に目を転ずれば、「市民がつくるまちの憲法」といわれる地方自治体の「条例」が溢れかえっていることに驚くはずだ。それも、気付かないうちに議会で制定され、施行後に賛否が問われることも珍しくない。 今年4月に兵庫県小野市が施行した「福祉給付制度適正化条例」もそのひとつ。市民が、パチンコや競馬などギャンブルに浪費する生活保護受給者を見つけたら、市へ通報するという内容である。 これには「監視社会を招く」「受給者の個人情報が漏れる」と批判が相次いだ。小野市の蓬莱務市長は「監視ではなく見守り。地域の絆を深め、受給者の自立した生活を支援するため」と説明したが、後味の悪さだけが残った。 ジャーナリストで元読売新聞社会部記者の大谷昭宏氏も「理解に苦しむ」と話す。 「小