現代中国を代表する作家の1人である閻連科。今まで読んだことがなかったので、今回、この『年月日』が白水Uブックに入ったのを機に読んでみました。 最後に置かれた「もう一人の閻連科 ー 日本の読者へ」で、閻連科本人が、自分は「論争を引き起こす作家、凶暴な作家」と見られているが、本作は違うといったことを述べていますが、その通りなんでしょうし、普通の小説とはちょっと違います。 舞台は千年に一度の日照りに襲われた山深い農村で、村人たちが逃げ出す中で、たった一本だけ残ったとうもろこしを守るために、老人の「先じい」と盲目の老犬「メナシ」が残るというものです。 途中でネズミやオオカミは出てきますが、出てくる人間は先じいただ一人と言っていいです。ですから、基本的に本書には会話がなく、描写と先じいのモノローグで構成されています。 帯には「現代の神話」とありますが、呼んでいる印象は神話とか説話に近いです。 日照り