おもしろい小説だった。舞台は1963年11月22日から始まる。そう、ケネディが暗殺されたことから物語は動き出す。マフィアの幹部ギドリーは、ケネディ暗殺のニュースを聞いて、ぴんと来るものがあった。その一週間前、ダラスの町で自動車を一台手配する仕事をしていたからだ。その車は暗殺事件に関与したに違いない。そして、その車を処分する依頼が来た。やはり。ボスは、すべての証拠とすべての関係者を消すつもりだ。俺も消される。そして、逃避行が始まる。 彼を追う殺し屋バローネのストーリーが重なり、アル中の夫を捨てて娘二人を連れて車で西へと向かう主婦シャーロットのストーリーが重なる。ハードボイルドタッチだが、登場人物それぞれの心情が吐露されている。疑心暗鬼、一喜一憂。信じたいけれど、絶対的な確信は得られない。嘘だとわかっていても、そこには一片の真実がある。誰もがみな人間くさく描かれている。 ケネディ暗殺にまつわる