浜松市天竜区出身の日本画家秋野不矩さん(1908~2001年)と文筆家の長男秋野癸巨矢(きくし)さん(1933~2008年)が1969年に発刊した絵本「クリシュナのつるぎ」の原画が約半世紀ぶりに見つかり、絶版だった絵本がこのほど復刻に至った。 原画は神戸市内の癸巨矢さん宅の書斎で妻美樹さん(62)が発見した。「昨年11月に13回忌を終え、年明けに遺品の整理をしていたら、引き出しから出てきた。手にした時は、原画の迫力におののいた」。不矩さんの作品の著作権管理などを行う一般社団法人秋野不矩の会(京都市)を通じて神戸市の出版社「BL出版」での復刻が決まった。 インド神話に材を取った「クリシュナのつるぎ」は、ヒンズー教のクリシュナ神が主人公。誕生の場面から、悪政を敷くカンサ王との対決まで、癸巨矢さんの文がテンポよく物語を進める。不矩さんらしい赤や黄が映える絵が、動と静のコントラストを際立たせる。