民主主義とは何か? いまこの問いが切実さを増している。日本学術会議の会員候補6名が任命拒否された問題では、その理由が説明されないまま、つじつまの合わない国会答弁が続けられている。この任命拒否を擁護する意見の多くは、選挙で国民に選ばれた政治家が判断を下すのが民主主義である、というものだ。 私自身、民主主義とは選挙による多数決だと思ってきた。でもかならずしもそれは正しくない。そう教えてくれたのが、9月に急逝した人類学者デヴィッド・グレーバーだ。彼は『民主主義の非西洋起源について』(片岡大右訳、以文社)で、民主主義が国家権力を行使する代表者の選出を意味するようになったのは、近年のことにすぎないという。もともと民主主義(デモクラシー)とは、民衆( デモス )の力/暴力(クラトス)を意味し、歴史上、エリート層にとって民衆の暴動や暴徒支配を指す言葉だった。権威主義的な体制下では、一般民衆が自分たちの意
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