厚生労働省は退職した元会社員(OB)が受け取る企業年金の減額を認める要件を実質的に緩和する。これまで、OB減額の要件として(1)受給者の3分の2以上の同意、(2)母体企業の経営状況が著しく悪化しているか、企業の掛け金負担が将来困難になる、の2つの要件が必要とされていた。これを変えようというのである。 省令改正の手続きを進める前段階として8月27日にパブリックコメントの募集を締め切った。 NTTの美談に異議を唱えた厚労省 過去にOBの減額を申請したNTTに対して、厚労省は、「経営が悪化していない」として却下したことがある。これに対して、NTTは、受給者の9割(14万人中12万人)の同意が得られているとして、厚労省に対し行政訴訟を起こした。しかし、受給者の給付減額が許容されるためには、母体企業の経営の悪化などにより、企業年金を廃止するしかないという状況で、これを避けるために、給付の額を減額する