郊外にある薄汚れた工場に足を踏み入れたのは、もう夏も終わりなのにひどく暑い日だった。中に入ると、工場は物音一つせず、乱雑にものが散らかっていた。機械類に積もった埃を見れば、それが長いこと稼働してないこともよくわかる。この工場が死んで長い時間が経っていることは、誰が見ても明らかだった。 奥に進むと、油じみた青い作業着のくたびれた男が一人椅子に座っている。頭は薄くなっていて、銀縁の眼鏡をかけた男は、頬に手を当てじっと彼の機械たちを眺めていた。妙に近寄りがたいその雰囲気に私が当惑していると、先に男が夢想から醒め、私に声をかけてきた。 「やあ!いらっしゃい!」 男は手を上げて陽気に声をかけたが、その目はどんよりと曇っている。私は彼に歩み寄り、握手をした。 「遠いところまで、悪かったね」 「いえいえ、仕事ですから」 型通りの挨拶を終えると、彼は自分の向かいに椅子を一個運んできて座るように促した。その