2009年12月29日11:05 カテゴリ本経済 Too Big to Fail NYタイムズの記者が克明に記録した、昨年の金融危機のドキュメント。バブル崩壊のような非線形の出来事は、あとから分析しても本質はわからない。当事者が事前にどう考えていたかをリアルタイムで再現し、彼らがシステマティックに誤った原因をみる必要がある。この点で、本書が考えさせられるのは2点だ。 第一に、ポールソン財務長官やバーナンキ議長を初めとする政策当局は、2007年初めから問題の大きさを認識していたが、政治家がまったくそれを理解せず、もうけすぎたウォール街に同情する声はなかった。リーマンのファルドCEOも、2008年春のベア・スターンズ破綻の後から経営危機を自覚して出資を得るために奔走していたが、それが金融業界全体の危機だと思っている金融機関はなく、「ざま見ろ」といった冷たい反応が多かった。 第二に、リーマンブラ