28日。 ネットがざわざわしていたので、アカデミー賞の授賞式の映像を見た。ウィル・スミスがクリス・ロックを張り倒していた。暴力が支配する社会は地獄だ。腕力が強いやつから意見が通る社会では、映画も芸術もバンドも多分、干からびて死ぬ。グッと堪えてこそだと思う。でも、俺が彼の立場だったら、同じような失敗をしたかもしれないと思う。もっと怒ってしまったかもしれない。ウィットに富んだ切り返しなんて咄嗟には思い付かず、靴や椅子を投げつけたかもしれない。そうした野蛮さがはっきりと身の内にあって、克服できないでいる。ウィル・スミスは恐らく、「なんてことをしたんだ」と後悔していると思う。俺は殴った本人ではないので後悔はしていないが、彼を責めるのではなく彼と同じ場所から自分のことを省みたい。怒りに任せずユーモアで切り返すような、本当の勇敢さや知性に憧れる。 29日。 ラジオや取材で話した言葉を書き起こしてもらっ