宮台◇ [本田由紀さんのハイパーメリトクラシー論は]経済学のレギュラシオン学派に似ていますね。産業構造が変わると労務や人事が「フォード主義からポストフォード主義へ」と変わるという学説を唱えたのです。 フォード主義は、製造業中心、大量生産型の近代過渡期(モダン)の社会に適合します。ポストフォード主義は、サービス&情報産業中心、多品種少量生産型の近代成熟期(ポストモダン)に適合します。フォード主義は「構想と実行の分離」が特徴で、頭を使う人と体を使う人とが分かれ、体を使う大多数には標準性や順応性が求められます。本田さんの近代型能力ですね。 ポストフォード主義は「構想と実行の一致」。インスツルメンタル(道具的)よりコンサマトリー(自足的)な高付加価値化が重要になり、トップから末端まで創意工夫=構想が求められます。だから労働が自己実現に結びつきやすくなり、現にミシェル・アグリエッタは労働=創造という