全てを背負う覚悟を決めたからこそ、一歩を踏み出せる。 浦和レッズのGK西川周作は、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)ラウンド16第2戦のFCソウル戦がPK戦にもつれ込んだ時、自らキッカーに名乗りを上げた。 延長後半がタイムアップを迎えたことを告げるホイッスルが鳴り響き、浦和はベンチの前でPK戦のキッカーを決めるミーティングを行った。選手たちの自主性を重んじることで成長を促してきたミハイロ・ペトロヴィッチ監督らしく、コーチングスタッフから打診を行った選手もいたものの、基本的にはキッカーはまず志願する選手を募った。その結果、3人まではスムーズに決まった。しかし、その後が続かなかったのだという。 120分間、それも死闘と呼べるようなタフなゲームをフル出場した選手に、ここで手を挙げるべきだと外から言うのは身勝手だろう。第1戦も合わせれば、210分を戦ってきた全ての結果が集約されるPK戦のキッカー
小さなうねりが起こっている。 9月3日にカンボジア、同8日にアフガニスタンとのW杯アジア2次予選に臨んだ日本は、予定どおりに勝点6を積み上げた。カンボジア戦まで湿りがちだった攻撃陣は、アフガニスタン戦で久しぶりに大量得点を記録した。香川真司が、岡崎慎司が、本田圭佑が、原口元気が、称賛に包まれている。 大切な事実がひとつ、見落とされている。 長く正GKを務めてきた川島永嗣がいないなかで、日本は2試合連続無失点を記録したのである。32歳の経験者はスタンダール・リエージュ退団後の新たな所属先を見つけられず、23人のリストから外れていた。 川島に代わってゴールマウスを任されたのは、浦和レッズ所属の西川周作だった。本田らと同じ北京世代の守護神は、すでに29歳となっている。 アフガニスタン戦を終えた西川は、落ち着いた口調で切り出した。 「2試合連続の無失点ということで、最低限の仕事はできたかと思います
名古屋市内のホテルにて。先に到着した川口能活と雑談していたら、まるでゴール前からのコーチングのような豪快な声が、取材部屋に響きわたった。 「ヨッちゃん! ごめん、待った?」 「おー、正剛! ひさしぶり。全然大丈夫だよ」 川口能活と楢崎正剛が、同じ空間で語り合う。正直に言うと、Number創刊35周年記念号で実現したこの対談がうまくいくのか、不安だった。長く日本代表正GKの座を奪い合った1歳違いの2人が、お互いに対してどんな感情を抱いているのかわからなかったから。新人の頃からメディアで比較され続け、プレースタイルやキャラクターの違いから、W杯やアジア杯が近づくたびに、世論はどちらをゴールマウスに立たせるべきか意見が分かれた。日本代表の練習中に2人が話していると、報道陣がざわつく場面もあったほどだ。 ところが、目の前に座った守護神たちは、お互いを「ヨッちゃん」「正剛」と呼び合っている。こちらの
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