連載目次 IT訴訟事例を例にとり、トラブルの予防策と対処法を解説する本連載。前回は、パッケージソフトをカスタマイズして開発するプロジェクト頓挫の裁判例を解説した。 今回は、分割検収後に既払い金の返還をユーザーがベンダーに求めた裁判を紹介する。 分割検収のススメ 読者の皆さんは、「分割検収(多段階契約)」をご存じだろうか。 経済産業省が勧める、「システム開発プロジェクトの工程ごとに契約を区切る契約プロセス」で、私も自著や講演でシステム開発にかかわる方々に何度もお勧めしてきた。 長期間にわたって実施するITプロジェクトを1つの契約で実施すると、最後の最後までユーザーが成果物を検収しなかったり、最終のテスト段階でさまざまな欠陥が噴出したり、スケジュールの遅延が発覚したりした場合、開発に掛かった費用をまったく支払ってもらえなくなる可能性がある。 しかし、プロジェクトを「要件定義工程」「設計工程」「
![納期が遅れているので契約解除します。既払い金も返してください](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/7c459c75a4def1220ab9128886c1e47b13de4733/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fimage.itmedia.co.jp%2Fait%2Farticles%2F1606%2F06%2Fl_itsosyo27.jpg)