「出せば右から左に売れていく」――。首都圏の中古マンション市場が過熱している。2007年の建築基準法改正で、新築マンションの着工が激減した影響が顕在化してきた。経済的な理由や価値観の変化で、中古を選ぶ消費者も増加。人気に拍車をかけている。 「いや~、本当に申し訳ありません。あの後、別のお客様がお申し込みになられまして…」 今年1月中旬の日曜日。携帯電話を取ると、仲介会社の担当者の申し訳なさそうな声が響いた。東京都内で中古マンションを探す真田隆さん(32歳、仮名)。結婚を機に、賃貸マンション暮らしをやめ、マイホームを手に入れようと昨年の暮れから物件探しを始めた。「無理をして高い新築を買うよりも、中古マンションで十分」と考え、物件探しを続けていた。 だが、ここ数カ月、彼は中古マンションの“買い負け”が続いている。 希少物件は買いが殺到 仲介会社が断ってきたのは、目黒区・武蔵小山の物件だった。長