東京電力福島第一原発から漏れた汚染水が、沖合の海にまで拡散し続けている可能性の高いことが、原子力規制委員会が公開している海水データの分析から分かった。安倍晋三首相は昨年九月、国際社会に向かって「汚染の影響は専用港内で完全にブロックされている」と強調したが、現実には放射性セシウムはブロックされず、海を汚し続けている。 (山川剛史、清水祐樹) かつて海外の核実験により放射性物質が日本にも降り注いだため、国は財団法人海洋生物環境研究所などに委託し海水中の放射性セシウム137濃度などを高精度で分析してきた。原子力規制委員会は一九八四年以降のデータを公開、福島第一の沖合三十キロ付近も調査地点に含まれていた。 二〇一一年の福島事故で、福島沖の同地点の濃度は直前の値から一挙に最大二十万倍近い一リットル当たり一九〇ベクレル(法定の放出基準は九〇ベクレル)に急上昇した。それでも半年後には一万分の一程度にまで