「在日・強制連行の神話」は、80年代から語られるようになった「在日韓国・朝鮮人は強制連行の被害者である」と言う誤解を、史料を元に否定した上で、なぜ誤解が生まれたかを丹念に記述している。要は在日韓国・朝鮮人の論者が捏造した神話だそうだ。著者の首都大学教授の鄭大均氏はエスニシティや日韓関係論の専門家で、この問題を語るに相応しい人物であろう。 1. 神話とその発生経緯の丁寧な説明 第1章で各所にある「在日は強制連行の被害者である」と言う記述を確認し、第2章でそれに対しての反論が紹介されている。第3章は在日一世たちの証言を紹介しつつ、第2章の反論を補強している。この章は興味深い話も多く、面白かった。第4章で朴慶植氏の「朝鮮人強制連行の記録」が誤解の源であり、その記述には不正確さがあること、朴慶植氏が北朝鮮の影響を強く受けていたことを指摘している。第5章は金嬉老事件に関して、梁石日氏、姜尚中氏、辛淑