サンドニのスタジアム前でフランス国旗を振る少年。彼は11年前の「惨劇」を知る由もないだろう【宇都宮徹壱】 フランス戦当日。現地を訪れて初めて、青空が顔を覗かせていた。もっとも、この時期のパリの天気は変わりやすい。会場に向かうべくホテルを後にすると、いきなりパラパラと小雨が降ってきた。結局、キックオフとなる21時は、やや激しい雨がピッチ上に降り注ぐこととなる。サンドニ(スタッド・ドゥ・フランス)でのフランス戦は、11年前の対戦と同様、雨模様の中で行われることとなった。 日本が最後にフランスと対戦したのは、2003年6月20日にサンテティエンヌで開催されたコンフェデレーションズカップである(結果は1−2)。だが、多くの日本のサッカーファンにとって、より鮮明に記憶されているのはその2年前、01年3月24の「サンドニの惨劇」であろう。試合前日、動画サイトで11年前の屈辱的な試合をダイジェストで見