太平洋戦争末期、敵艦を目指して知覧基地を飛び立った特攻隊員の遺書は、世界記憶遺産の国内候補から漏れた。「特攻を美化している」との批判もあるなか、地元は「平和の大切さを世界に発信したい」と訴えたが届かなかった。 ユネスコ国内委員会は、「知覧からの手紙 知覧特攻遺書」の評価について、「日本からの視点のみが説明されており、より多様な視点から世界的な重要性を説明することが望まれる」「特攻は沖縄戦の時期だけでないことも踏まえ、『唯一性』『完全性』の説明を補強することが望まれる」などと指摘した。 鹿児島県南九州市の知覧特攻平和会館で12日夜、記者会見した霜出(しもいで)勘平市長は「残念の一言に尽きる。我々の力が足りなかったのかなと思う」と語った。 平和会館が収蔵する資料は約1万4千点。遺書や手紙、日記、手帳、寄せ書きなど紙類だけでも3764点に上る。市は隊員の「真の姿」を示す資料を選ぼうと心がけた。申