■イスラエル危機感 【カイロ=黒沢潤】エジプトのムバラク大統領が9月に予定される大統領選への不出馬を表明したことで、イスラエルに激震が走っている。エジプトは、アラブ圏内でイスラエルと「平和条約」を締結している数少ない国家で、イスラエルにとって重要な役割を果たしてきた。それだけに、エジプトにイスラム原理主義勢力が台頭すれば、地域情勢は激変する。イスラエル政府高官は、エジプトでの根本的な政権交代は「イスラエルの安全保障政策の大転換を招く」と深刻な懸念を表明している。 「『自由』と『急進』のどちらをエジプトが選ぶのか。エジプトだけでなく、中東、イスラエルの未来にとっても重要だ」。イスラエルのネタニヤフ首相は2日、エジプトで非合法のイスラム主義組織ムスリム同胞団などが台頭することに強い警戒感を示した。 イスラエルは1979年、アラブ国家では初めてエジプトと平和条約を締結。反ユダヤ人国家に囲ま