2011年3月11日、東北地方を襲った大規模地震と津波が未曽有の被害をもたらした東日本大震災から早5年が過ぎようとしている。この間、あらゆる学術領域から、東日本大震災をめぐる数えきれないほどの研究や支援が行われてきた。その中で立岩真也ややまだようこは、「生存学」という新たな学問分野からこの大震災に迫ろうとしている。 「私たち人間はみな『障害』や『老い』『病い』、性的アイデンティティの違いといった『異なり』とともに生きています。これらの『障老病異』は誰の身にも起こり得るにもかかわらず、専門家たちは「仕事」として研究したり協力し合うのに対して、当事者たちは『障老病異』によってお金を得るわけでもなく、それぞれの数も少ないため、これまで本人の視点で考えられることがあまりありませんでした。そうした『障老病異』を抱えたマイノリティの人たちがどうやって生きてきたか、そして今をどのように生きているか、さら