最高裁第1小法廷が18日、長崎市と長崎県、国に被爆者健康手帳の交付などを求めた長崎原爆の「被爆体験者」387人の上告を退けた。被爆体験者は国が行政区域を基に南北にいびつな形で指定した「被爆地域」の外で原爆に遭ったため、爆心地からの距離は変わらないのに手帳が交付されない人たちで、「国の線引きは不合理」と訴えてきた。原告の敗訴は確定したが、国が科学的根拠の乏しい理由で原爆被害者を分断し、原爆投下から72年がたった今も多くの住民を苦しめている問題を放置し続けるのは許されない。被爆体験者の高齢化を踏まえ、国は早期救済を図るべきだ。