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ブックマーク / honz.jp (22)

  • 最強&最恐のアートディレクターは時代を超える『TIMELESS 石岡瑛子とその時代』 - HONZ

    石岡瑛子、どれくらいの知名度なのだろう。不覚にもまったく知らなかった。あるところで、こののことが話題になった。誰です、それ?と尋ねたら、あんな有名なデザイナーを知らないのですか、作品は絶対に見覚えがあるはずです。いま展覧会をやってますから行ってみられたらどうですかと教えられた。 東京出張の折りに、その展覧会『血が、汗が、涙がデザインできるか』を東京都現代美術館へ観に行った。先入観も予備知識もゼロだったが、いきなりタイトルがすごい。会場に入ってまず目を引くのは、白い水着をつけた前田美波里。資生堂化粧品のポスターである。一定以上の年齢の人は誰もが覚えているはずだ。1966年、わたしが小学校5年生の時のものだが、鮮明に記憶している。 広く明るい第一展示室には、渋谷パルコや角川文庫のポスターシリーズ、映画『地獄の黙示録』のポスターなどが飾られていて壮観である。CMのビデオも流されている。見知った

    最強&最恐のアートディレクターは時代を超える『TIMELESS 石岡瑛子とその時代』 - HONZ
  • 大正時代のおしゃれ女子『モダンガール大図鑑』 - HONZ

    大正という時代にはとても浪漫を感じる。日の古き良き時代といったときに想像するのがこの時代だ。エロ・グロ・ナンセンスといった大衆文化が花開き、ファッションは和洋折衷で独自のスタイルが形成されていた。なかでも『はいからさんが通る』に出てきたような袴にブーツというスタイルはいま見ても魅力的である。また大正時代のキモノは柄が大胆で斬新なものが多い。アール・デコ調のものなどもあり、現代でも通用するような素晴らしいデザインのものが多くある。アンティークのキモノはこの時代のものが、とても人気があるそうだが、デザインをみているとそれもうなずける。 私は東京駅の駅舎が大正時代の姿に復元されたことをきっかけに、大正時代ブームがくればいいのに!と思っている。昔から大正デモクラシーという言葉の響きが好きで、灯台下暗しというときには、つい灯台モトクラシーと、大正デモクラシーのイントネーションでいってしまう癖がある

    大正時代のおしゃれ女子『モダンガール大図鑑』 - HONZ
  • 『2050年 世界人口大減少』と『人口で語る世界史』2050年以降の世界人口は減少に転じるのか? - HONZ

    経営学者で未来学者のピーター・ドラッカーは、1985年の著書『イノベーションと起業家精神』の中で、未来予測における人口動態(demography)の有用性について、「人口、年齢、雇用、教育、所得など人口構造にかかわる変化ほど明白なものはない。見誤りようがない。予測が容易である。リードタイムまで明らかである」と語っている。 昨年6月に発表された国連報告書『世界人口推計2019年版』によると、世界人口は現在の77億人から2050年には97億人へと、今後30年で20億人増加し、今世紀末頃に110億人でピークに達すると見られる。 その内訳を見ると、予測される人口増加の過半は、インド、ナイジェリア、パキスタン、コンゴ、エチオピア、タンザニア、インドネシア、エジプト、米国の9カ国で生じ、特にサハラ以南のアフリカの人口が倍増し、絶対数ではインドが2027年頃に中国を抜いて、世界で最も人口が多い国になると

    『2050年 世界人口大減少』と『人口で語る世界史』2050年以降の世界人口は減少に転じるのか? - HONZ
  • 『バーブル・ナーマ 1』by 出口 治明 - HONZ

    間野英二先生の「バーブル・ナーマの研究<3> 訳注」が、松香堂から出版されたのは1998年。初めて読み終えた時の感動は今でも忘れることができない。間違いなく人類が書き残した自伝の最高傑作だと確信したものである。松香堂は絶版となって久しく、長らく復刊が待ち望まれていたが、ついに東洋文庫から改訂新版が出されることになった。なお、東洋文庫版は3巻に別れている。書がフェルガーナ(中央アジア)、第2巻はカーブル(アフガニスタン)、第3巻がヒンドゥスターン(インド)となる。早速手に取って初恋の人に再会したような気持ちで頁を開いた。 「バーブル・ナーマ」は、ティムール朝の王子として中央アジアに生まれ、アフガニスタンを経てインドにムガル朝を開いたバーブルの回想録である(ナーマは書の意味)。書き出しは「至高なる神のお恵みにより、(中略)1494年6月9日、私はフェルガーナ地方で、12才で支配者となった」

    『バーブル・ナーマ 1』by 出口 治明 - HONZ
  • 『動くものはすべて殺せ アメリカ兵はベトナムで何をしたか』 - HONZ

    ベトナム戦争終結から、今年でちょうど40年。その間、この戦争について多くの研究書や回顧録、ルポルタージュが刊行され、映画もたくさん制作されてきた。もちろん、これを主題とする小説も書かれた。わたし自身も何度かベトナム帰還兵の登場する作品を訳し、この戦争について学ぶ機会を得ている。英日翻訳を専門とする出版翻訳家なら、誰もが一度は向き合わざるをえないテーマかもしれない。 最近はベトナム戦争についてよく知らない若い人が増えていると聞くが、安全保障問題への関心が高まるなか、年配の世代でも、祖国の今後を考えるためにもいま一度、この戦争について知識を整理し直したいとお考えのかたもいらっしゃるだろう。きちんと知るには、フランス、そして日による植民地支配からベトナムの歴史をおさらいすべきだろうが、そんなふうに身構えずとも、ふと目を惹かれたを手にとってみることで、思わぬ興味が広がり、理解が深まることもある

    『動くものはすべて殺せ アメリカ兵はベトナムで何をしたか』 - HONZ
  • 残念ながら、日本人の8割にこのビジネス書はいらない『異文化理解力』 - HONZ

    まずは下の写真を見て欲しい。これは「人物を撮る」ように言われた二人の被験者が撮影した写真だ。撮影した二人のうち、一人はアメリカ人、もう一人は日人である。どちらの写真がどちらによって撮られたものか、お分かりだろうか。 多くの人が正解を予想できたのではないかと思うが、左がアメリカ人、右が日人によって撮影された写真である。複数の被験者に対して行われたこの実験において、アメリカ人はほとんどの場合、人物の顔がはっきり分かるようにクローズアップ写真を撮った一方で、日人は背景まで写るように撮影し、人物が非常に小さくなる傾向にあることがわかった。 西洋の実験参加者「だけど人物の写真を撮れと言われたんだから、左のこそが人物写真だよ。右の写真は部屋の写真だ。どうして日人は人物の写真を撮れと言われて部屋の写真を撮るんだ?」 アジアの実験参加者「左の写真は人物写真とは言えない。顔のクローズアップ写真だ。こ

    残念ながら、日本人の8割にこのビジネス書はいらない『異文化理解力』 - HONZ
  • 『ガイトナー回顧録 金融危機の真相』 米国財務長官がモラルを犠牲にしてでも守りたかったものとは? - HONZ

    私たちは一線を引いたのではなかった。私たちは怖れを知らないのではなく、力がなかったのだ。壊滅的な破綻を防ごうとして失敗したのだ。 アメリカ史上最大規模となったリーマン・ブラザーズの破産申請を、当時の米国財務長官である書の著者ティモシー・ガイトナーは、このように振り返る。しかしながら、当時のマスコミの多く、左派の《ニューヨーク・タイムス》から右派の《ウォール・ストリート・ジャーナル》までが、モラル・ハザードを防ぐためにはリーマン破綻は良い選択だと反応した。そして、リーマンを“救わなかった”のではなく“救えなかった”のだという事実や、ガイトナーが何を恐れ、何を望みながら金融危機に立ち向かったのかという背景は、今でも理解されていない。 マスコミの前でしゃべることを好まなかったガイトナーが、危機対応の全容を600頁超のとしてまとめあげたのは、世界規模の金融危機にはどのような規制が有効だったか、

    『ガイトナー回顧録 金融危機の真相』 米国財務長官がモラルを犠牲にしてでも守りたかったものとは? - HONZ
  • 『権力の終焉』が、競争のルールを書き換える - HONZ

    国民国家システムは終焉を迎えつつあり、国家権力は衰退していると多くの書籍は言う。その一方で新聞やネットには、強行採決、右傾化というキーワードが飛び交う。 資主義システムでは経済の格差が広がる一方であることが示される傍らで、政治権力における格差の縮小傾向を示す様々な出来事も起こっている。 これらは一体何を意味するのだろうか? スマホやソーシャルメディアといったITの進化によって、権力が大きなものから小さなものへとシフトする。それ自体は、疑いの余地もないことである。だがそれだけで全てを片付けるのは、少し部分的で表面的であるのかもしれない。 権力とは、ほかの集団や個人の現在または将来の行動を命令したり、阻んだりする能力のことを指す。誰だって権力を手中に収め、世界を思うがままにしてみたいと願望はあるだろう。しかし、苦労して権力を手にしたところで、その力を行使できる範囲は限定的なものなっているーー

    『権力の終焉』が、競争のルールを書き換える - HONZ
  • 『ぼくは数式で宇宙の美しさを伝えたい』人を育てるということ - HONZ

    書は子を持つすべての親と、教育者にこそ読んでほしい物語である。主人公はジャイコブ・バーネット、この5月に16歳になるアメリカ人の少年だ。ジェイコブ君はただの少年ではない。9歳で大学に入学し、専門は数学と宇宙論。IQは170を超えるという。いわゆる天才少年なのだ。 しかし、このジェイコブ君は何万人に1人の割合で生まれるといわれる、いわゆる知的早熟児ではない。2歳で自閉症と診断され、16歳になったときに自分でひもを結べるようになっていたらラッキーだと専門家が診断するほどの症状だったのだ。 父母はインディアナに住む労働者階級。父親は小売りチェーン店勤務、母親は自宅を託児所にして生計を立てていた。信仰深いアーミッシュのつつましい家庭に授かった最初の赤ちゃんだった。 自閉症と診断されたジェイコブ君は3歳になる前から、州の補助により言語療法セラピー、作業療法士、理学療法士、発達セラピストなどが週に

    『ぼくは数式で宇宙の美しさを伝えたい』人を育てるということ - HONZ
  • 『格差の世界経済史』 姓で読み解く階級社会の不都合な真実 - HONZ

    姓を手がかりに、歴史に埋もれたビッグデータを掘り起こした著者は、残酷な現実を突きつける。 基盤的な、または相対的な社会的流動性は、社会学者や経済学者が一般的に考えている水準よりはるかに低い。 つまり、従来考えられていたよりも、わたしたちの人生はその生まれによって決定されており、人の努力や意志で階級の階段を昇るのは従来考えられていたよりも困難だというのだ。時代・地域を問わない低い社会的流動性は、経済格差の大きなチリやペルーだけでなく、社会福祉の充実したスウェーデンなど北欧諸国でも変わることはなく、チャンスの国アメリカとて例外ではない。さらに驚くべきことに、この低い社会的流動性を向上させる政策などないという。北欧に見られる教育の無償化も、あらゆるものを破壊した第二次世界大戦も、人類史上最大規模で知識階級を虐殺した文化大革命でさえも、社会的流動性を向上させることはなかった。上流は上流のまま、下

    『格差の世界経済史』 姓で読み解く階級社会の不都合な真実 - HONZ
  • 『S,M,L,XL+: 現代都市をめぐるエッセイ』語り、それ自体が都市であるような - HONZ

    普段、線をぐりぐりと引きながらを読む。あとで引用しようと思うぐっときた部分に、結論部分に、問題提起の部分に。概ねあとから読み返した時に、そこを起点として他の細部をずるずると思い出せるように引いている。というわけで、書もいつもと同じように愛用のボールペンを片手に読み始めた。冒頭の畳み掛けるような問いかけから思っても見なかった都市観を提示され線を引き始めてみれば、これがいつまでたっても線が引き終わらない。 中心の束縛、アイデンティティの拘束から解放された、今のニーズを追求し古いものを捨て去る現代的な都市を「ジェネリック・シティ」と名づけた章から書ははじまる。時に冗長で混沌としながらも力強くリズミカルな文体は、まるで頭の中の都市概念を一旦解体し、言葉によって再構築してみせるかのようだ。1ページ線を引き続けて、2ページ目も引き続けて、4ページになっても引き続けて「このままじゃあ、が真っ黒に

    『S,M,L,XL+: 現代都市をめぐるエッセイ』語り、それ自体が都市であるような - HONZ
  • 『フェルメールの帽子』by 出口 治明 - HONZ

    17世紀の中葉、ネーデルランドのデルフトという街に生まれ、そこでほぼ一生を過ごして死んだフェルメールという風俗画家がいた。18世紀に入るとほとんど忘れ去られたものの、19世紀に再発見され現在では史上最も著名な画家の1人とされている。著者はフェルメールの名画を俎上に載せ、17世紀の世界、いやグローバリゼーションを活写しようと試みた。 20歳の夏、アムステルダムで自転車を買い、低地地方縦断の旅に出た著者は、雨の中トラックと接触しそうになり転倒して泥まみれになってしまう。雨宿りを求めて近くの家のドアをノックした著者は、歓待を受け、デルフトという街の存在を教えてもらう。こうして著者はフェルメールと出会ったのだ。書の物語は、フェルメールの唯一の風景画「デルフト眺望」(ハーグ、マウリッツハイス美術館)から始まる。そこには世界に対して開かれていたデルフトの河口が描かれているのだ(第1章)。 次の絵は「

    『フェルメールの帽子』by 出口 治明 - HONZ
  • 戦時の嘘 『戦争プロパガンダ10の法則』 - HONZ

    最近、戦争を身近に感じる出来事が続いている。書は、国家が“国民を戦争にかりたてるために”どんな嘘をついてきたかを、歴史上の事実を列挙してつまびらかにしただ。ベースにあるのは、1928年にロンドンで出版された名著『戦時の嘘』。この比較的薄い文庫は、私たち日人が今まさに見つめ直すべきテーマについて、考えを深める契機をたくさん与えてくれる。ぜひ、ともに過ごして欲しいだ。 想像すればわかるが、戦時の嘘が通用した時代と現代では、生活者を取り巻く環境は大きく違っている。もう同じ手はうまい。そんな思いもわかる。しかし、日ごろの自分を振り返ってみると、メディアの報道やネットの情報に踊らされることがよくあることに気づく。思い起こせば恥ずかしながら、昨今相次いでいる捏造事件について、私は当初最大限の賛辞を贈った。書巻末では、現代の「洗脳」技術について、ベルギーのある漫画の言葉を引用している。 現

    戦時の嘘 『戦争プロパガンダ10の法則』 - HONZ
  • 『女性のいない世界』 消えた1億6300万人 - HONZ

    この数字は、100人の女子に対してどれだけの男子が生まれるかを表した出生性比と呼ばれる数値である。この数字が何を意味するかは、自然な状態での出生性比105と比べる必要がある。上記の中国の出生性比113と自然な出生性比の差はたった8であり、大きな問題ではないと思えるかもしれない。しかし、この比の差を具体的な人数に置き換えると問題の大きさが見えてくる。 書で紹介されているパリ人口開発研究所のクリストフ・ギルモトによる2005年の研究によると、もしこの過去数十年間自然な性比が維持されていたとしたら、アジア大陸だけでもあと1億6300万人の女性がいた計算になる。つまり、現在のアジアには自然な状態と比べて、日の総人口よりも多い数の女性が不足しているということだ。 書は1992年にギルモトが人口統計学の短期調査プロジェクトでインドを訪ねるところから始まる。現地の孤児を引き取る養護施設で働くフラン

    『女性のいない世界』 消えた1億6300万人 - HONZ
  • 『暴力の人類史』 人類史上もっとも平和な時代 - HONZ

    テロ、紛争、無差別殺人。世界は悲劇的なニュースで溢れている。人類は自らの手でその未来を閉ざしてしまうのではないか、と不安になる。ところが、著者スティーブン・ピンカーは大胆にもこう主張する。 長い歳月のあいだに人間の暴力は減少し、今日、私たちは人類が地上に出現して以来、最も平和な時代に暮らしているかもしれない にわかに信じがたいこの説を検証し、読者に確信させるためにピンカーは、人類の暴力の歴史を大量の統計データとともに振り返る。書が上下で1,300ページ超という並外れたボリュームで膨大な文献を引用しているのは、並外れた説の主張にはそれに見合った証拠を提出する必要があるからだ。しかし、ピンカーが「統計のない物語が盲目であるとするならば、物語のない統計は空疎である」と語るように、書はデータばかりが延々と続く退屈なものではない。持続的な暴力減少を示す圧倒的な事実の積み重ねとそのメカニズムに対す

    『暴力の人類史』 人類史上もっとも平和な時代 - HONZ
  • その”時代錯誤”は戦略なのか? 『イスラム国 テロリストが国家を作るとき』 - HONZ

    我々日人にとって、中東という地域は直視することが難しい存在である。欧米的なフィルターを通して見ることも多いため、馴染み深い価値観との違いにばかり目が向い、不可解で危険な存在と断定してしまうことも多いだろう。 書のテーマとなっている「イスラム国」という存在についても、数多くの残虐な振る舞いがニュースやソーシャルメディアを通して喧伝され、その当の姿を我々は知らない。だが我々が彼らの歴史を知っている以上に、彼らは我々の歴史をよく知っているようだ。 これらのバイアスを一度リセットし、むしろ我々にとって既知なるものとの類似性を対比することで評価を定めて行こうとするのが、書『イスラム国 テロリストが国家を作るとき』である。 著者はテロ・ファイナンスを専門とする女性エコノミスト。そのような専門領域があったこと自体驚きなのだが、そこに行き着くまでの彼女のエピソードも面白い。かつて幼なじみの友達がテ

    その”時代錯誤”は戦略なのか? 『イスラム国 テロリストが国家を作るとき』 - HONZ
  • 『パリの国連で夢を食う。』世界一のお役所で働くということ。 - HONZ

    国連で働く女性職員をといえば、事務所の中ではパリっとしたキャリアスーツを着てパソコンを猛烈に叩き、難民キャンプや料調査、医療現場では髪をひっつめにして笑顔で支援にあたる、という絵が思い浮かぶ。キャリアウーマンの頂点、超エリートだと思っていた国連職員。しかし真実の姿はちょっと違っているようだ。 著者の川内有緒は日の大学を卒業後、アメリカに留学。その後、東京の大手のシンクタンクでリサーチやコンサルティングを専門にしていた。仕事はやりがいがあったが、あまりの忙しさ転職を考え、ネットで探すと国連職員の募集があった。どうやら自分にも勤まりそうだと応募をしたが、それっきりナシのつぶて。すっかり忘れた2年後に「あなたは書類審査を通りました」の通知が来た。なんとパリに面接に来いという。 そこからは怒涛の展開だ。英語スペイン語は達者だが、フランス語はからっきし。しかし千載一遇のチャンスを逃すまじ、と臨

    『パリの国連で夢を食う。』世界一のお役所で働くということ。 - HONZ
  • これを読まずに日本の未来は語れない『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?』 - HONZ

    帯にはLNG船の写真と「日の丸」のような赤丸。その赤丸の中には「HONZ成毛眞氏大興奮!」と白抜き文字。そりゃあ間違いなく面白そうだと、書店で慌てて買ってみた。 なんてことはなくて、きっちりとゲラを読みこんだ上で、帯文の一助としていただいた。まさにこれを読まずに日の未来は語れないと考えたからだ。著者は三井物産でエネルギー関連事業に携わってきた岩瀬昇さんだ。あとがきを読んで気づいたのだが、ライフネット生命の岩瀬大輔社長のお父上らしい。 帯裏には「エネルギー界の池上彰さん誕生!」とある。まさに読み込んでいる途中からそう感じていただ。シェールガスや石油の現状は、専門的、技術的、国際政治的、流動的であり、理解しにくいことの筆頭なのだが、これまでそれを丁寧に説明してくれるはなかった。 アメリカで起こっているシェールガス革命のインパクトは知っているつもりだった。世界最大のエネルギー消費国であるア

    これを読まずに日本の未来は語れない『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?』 - HONZ
  • 『フラッシュ・ボーイズ』 ナノ秒速で100億ドル以上を稼ぐ男たち - HONZ

    ウォール街を震撼させたと言われる、マイケル・ルイス待望の新作。一読して心底驚いた。 その小説のような文体もあいまって、まるで架空の話のような印象も受ける。だが書に出てくる、超高速取引(HFT)業者、フロントランニング、ダークプールといった単語を検索すると、全て実在の出来事である証拠が出てきて、現実に引き戻される。 そしてなによりも、投資するほどの資産を持ち合わせていなかったことを心から幸運に思った。 世界第9位の銀行、カナダロイヤル銀行(RBC)のニューヨーク支店に勤務するブラッド・カツヤマは、ある日電子取引の最中にマーケットの妙な動きに気が付く。 取引画面には、ある企業の株式1万株が売り気配22ドルと、確かに表示されていた。だが購入しようとボタンを押した瞬間、その1万株が蜃気楼のように消えてしまうのである。しかも一度のみならず度々再発し、時にはミニ暴落すら引き起こす。それはまるで市場が

    『フラッシュ・ボーイズ』 ナノ秒速で100億ドル以上を稼ぐ男たち - HONZ
  • 『大富豪破天荒伝説 Best100』新刊超速レビュー - HONZ

    巨額の資産を持つ人のことを人々は大富豪と呼ぶ。大富豪は金の力で歴史をも動かす。秦の始皇帝が中国統一を成し遂げられたのも、宗教革命が起きたのも、スエズ運河が開通したのも、元を正せば大富豪の行動に端を発している。 また大富豪には破天荒なお金の使い方をする人も多い。ありあまる富の力によって成し遂げられた歴史に残る大事業もあれば、「なんでこんなことにお金を?」と思うような盛大な無駄遣いまで。世界を揺るがしてきた大富豪の破天荒なお金の使い方をランキング形式で紹介したものが著である。 ベスト100ということで、100人のエピソードが載っているのだが、これがどれもおもしろい。ちょっとした空き時間に1人分のエピソードを読むなどするのもよいだろう。またトイレにも持ってこいだと思う。一気に読むのではなく少しずつ読む進めていくのがオススメだ。 富豪といっても様々なタイプの人間がいる。自分の力でのし上がった人

    『大富豪破天荒伝説 Best100』新刊超速レビュー - HONZ