飢餓の広がる国があれば、食糧支援を考えるだろう。その食糧の提供が現地の武装勢力によって阻まれたなら、武装勢力の排除をその国の政府に求めることになるだろう。では、それが期待できない状況はどう考えれば良いだろうか。仮にその政府に武装勢力を阻む意志があったとしても、武装勢力の活動を抑制する力を政府が持たない場合、飢餓を阻止するためには、どのような選択が残されるだろうか。 これは架空の事例ではない。2011年、ソマリアを中心とする東アフリカ地域に、過去60年間に例がないと伝えられるほどの大規模な干魃が襲いかかった。国連は同年7月にソマリア南部の一部を飢餓地域と認定し、国際機関、各国政府やNGOなどによって食糧支援が企画された。 だが、ソマリア南部を実効支配するイスラム武装勢力シャバブは、国際援助団体に活動禁止を命じた。それも武力によって援助物資の輸送を阻むばかりでなく、その現場から活動家を誘拐する