要旨 消費者物価指数が上昇に転じる一方で、GDPデフレーターは大幅下落が続いている。乖離の原因は輸入物価の上昇による海外への所得流出。輸入物価の上昇がCPIの押し上げ要因になるのに対して、コスト増が十分に価格転嫁ができない場合にはGDPデフレーターの押し下げ要因になる。 海外への所得流出による損失は、主に家計と企業によって負担される。輸入物価の上昇により生じたコスト増を販売価格に十分転嫁できなければ企業収益の圧迫の形で企業が負担し、値上げが実施されれば家計の負担が増大する。前者(収益圧迫)がGDPデフレーターの下落、後者(家計負担増)がCPIの上昇に対応する。どちらも景気を悪化させる要因であり、コストプッシュの形で生じるCPIの上昇は、デフレ的な側面も併せ持つ。 この先予想されるCPIの上昇は、あくまで資源価格の上昇によるもので、持続性には疑問符がつく。時間の経過とともに原油価格の上昇寄与
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