米精神医学会が定めた精神医学の世界的な診断基準「DSM」が19年ぶりに改訂され、第5版の「DSM-5」として来年5月に発行される。神経発達障害の分野では、自閉症やアスペルガー障害などを包括的に「自閉症スペクトラム障害(ASD)」と新たに定義したのが大きな特徴。改訂の中心メンバー、キャサリン・ロード博士がこのほど、福岡市の九州大医学部で講演し、改訂の考え方を解説した。 ロード氏は、米ニューヨーク州の「自閉症-発達脳センター」所長。開発した自閉症の診断法2種は、海外に広く普及している。 自閉症の原因は、決して親の子育てによるものではないなど、明らかに原因ではないことを排除できるようになっている。ロード氏は「早期診断、早期介入は効果がある。診断は複雑化する中、迅速さも求められている」と現状を話す。 自閉症スペクトラムは、自閉症の傾向が強い人から社会的な困難がほとんどない人までの連続体(スペク