近代の文語文史料を読むには、漢文訓読の知識が欠かせない。古代・中世の史料より容易に解読できるような気になるが、漢語と和語が入り乱れるがゆえに数々の罠が潜む。語義、語彙、文法など、漢文訓読体を読み解く術を基礎から丁寧に解説する。わかったつもりでいた文章が、実はわかっていなかったことに気づかされる、近代史研究者必携の入門書。 漢文訓読体とは何か? 文体としての位置付け/本質的原理 漢文訓読体の基礎 文章の体裁/文字/語彙/発音/文法 訓読表現の諸相―『米欧回覧実記』 漢語および典拠に基づく字句/典型的な訓読表現/返り読み表現/紛らわしい訓読表現/訓読表現の極北 訓読表現の詳細―『文明論之概略』 倒置表現/使役表現を転用した仮定表現 補説1 学習の指針―辞典などの紹介を兼ねて 補説2 校訂本について 閲読篇―《明六雑誌》二篇補注 A 津田真道「地震ノ説」/B 中村正直「支那不可侮論」 〈付録〉文