何をいまさらと言われるかもしれないが、プログラミング言語におけるサブルーチンという概念の発明はノイマン型計算機のアーキテクチャの発明に匹敵する影響を後生の計算機科学に与えたと思う。もっともその影響があまりに大きかったので、プログラミングのスタイルや計算機アーキテクチャまでサブルーチン型の構造になってしまい、新しいアーキテクチャに脱皮できなくなってしまっているのも事実である。 サブルーチンのサブルーチンたるゆえんは、それがメイン・ルーチンという”親”から呼び出されることにある。サブルーチンに与えられた自由は親に帰ること(return)だけである。つまり、メイン・ルーチンはサブルーチンよりも偉いという厳然たる階層構造の上に成り立っている。そして、サブルーチン呼び出しはメイン・ルーチンを中断することで行われるという遂次性ゆえに、現在の遂次実行型の計算機アーキテクチャにぴったりはまるわけである。