江原由美子・大嶽秀夫「フェミニズム政治学の可能性――権力、制度、アジェンダ・セッティング」『レヴァイアサン』8号、1991年春。 シリーズ・大嶽秀夫を読む(64)。 この対談は、特集「フェミニズムと社会運動」に収録されたものである。なお同特集は、日本の政治学専門誌としては、初めてフェミニズムを取り上げたものである。 大嶽は、エスノメソドロジーに注目した、きわめて例外的な政治学者の一人である。社会学においてさえ「秘密結社」*と呼ばれるエスノメソドロジーは、政治学においては、なおさら存在感が薄く、その政治学における寄与は十分検討されてはいない。こうした中で、90年代前半という早い時期にこれに着目した大嶽は、現在からみても先駆的である。 大嶽のエスノメソドロジーに対する関心は強く、それも90年前後に急速に強まっている。これを示すものとして、次のエピソードを紹介したい。87年に大嶽は、神島二郎の民