≪1年前忘れたこの惑星の住人≫ 缶コーヒーのCM風に言うならば、「この惑星の住人は1年前のことを全く覚えていない」のではないだろうか。昨今の消費税論議を聞いていると、議論の時間軸が短すぎるように感じている。 内閣府は集中点検会合を開催し、有識者から来年春からの増税の是非を問うている。景気は大丈夫か、もっといい上げ方はないかという話が中心だが、そもそもなぜ増税が決まったかを思い出してみよう。 消費税増税法は、昨年8月に民主党政権下で成立した。「社会保障と税の一体改革」を実現するためには、まず財政再建を図らなければならず、そのためには増税が避けられない。社会保障改革は、時間がないから超党派の「国民会議」で議論しようということが三党合意で決まった。立役者となったのは、当時の野田佳彦首相と谷垣禎一自民党総裁という2人の財務相経験者である。 この時点では、財政の安定こそが主眼であり、景気回復やデフレ