●消えゆく里山 私が育ったのは、山口県の瀬戸内沿いのところです。丘の上に家があって、見下ろすと町や、その向こうに海が見えました。もともとは段々畑だったところに建てられた家で、まわりは田んぼだらけ。夜はカエルが鳴くような里山です。子どもの頃は、近くのため池でよく釣りをしました。少し大きくなって近くの山に登ると、「なんでこんなところにまで」という山奥まで段々畑があったことが印象に残っています。山口県は平地が少ないので、ちょっとでも斜面が緩いと、段々畑を作ってそこに人が住んでいたんですね。 母方は、北陸の山奥の村で700年前から庄屋をやっていた家系です。本当に雪深い山奥にある村で、残念ながら私が子どもの頃に、廃村になりました。まだ人がいた頃に遊びに行っていたんですが、だんだんと人がいなくなるのを肌で感じられました。 そういう感覚を持って全国の里山を回っていると、いま同じように消えそうになって