東日本大震災に伴う九州・山口・沖縄への避難者は少なくとも3654人にのぼり、半年前より約2%増え、依然増加傾向にあることが毎日新聞のまとめで分かった。最も多いのは沖縄県の1001人(半年前比約1%増)で、全体の約3割。福島県からの避難者は1936人で5割超を占めた。震災発生から間もなく1年半を迎えるが、避難生活は、福島第1原発事故による放射能への不安などを理由に長期化してきた。 8月初旬から9月初旬の各県の調査結果を集計した。避難者数は沖縄に次いで、福岡県758人(同約7%増)▽熊本県394人(同約28%増)などでいずれも増えた。これに対し、半年前より減ったのは大分県の352人で約2%減。佐賀県は284人で同約11%減だった。 各県とも福島県からの避難者が最多で、宮城県724人、岩手県84人と続いた。3県以外では、茨城県や千葉県、東京都、埼玉県など関東地方からの避難者が目立った。
1999年に臨界事故を起こした東海村の核燃料加工会社ジェー・シー・オー(JCO)が8日、事故後に保管している低レベル放射性廃棄物を処理するための焼却炉を13年5月末までに設置し同年6月から試運転を開始する計画を明らかにした。同社で行った住民説明会で、村民や村議、周辺の水戸市民など約30人に説明した。 計画によると、敷地内に保管しているドラム缶(200リットル)約8900本分の未処理の低レベル放射性廃棄物のうち、ウラン加工工場で使っていた油ドラム缶約500本(100立方メートル)と放射線管理区域内で使用したモップなどドラム缶約200本分を焼却する。7月末に文部科学省に使用変更許可を申請し、9月ごろに許可を受ける予定という。
東日本大震災:福島第1原発事故 内部被ばく証拠残せ 福島走る車のフィルター収集、分析 神戸の医師、保存呼びかけ ◇付着の放射性物質画像に 内部被ばくの証拠を残したい−−。原爆症認定集団訴訟を支援してきた神戸市の医師が、東京電力福島第1原発事故による内部被ばくの実態をつかもうと、福島県などを走った自動車のエンジンフィルターを集め、付着した放射性物質を分析する取り組みを進めている。医師は「フィルターは、人が吸い込んだ放射性物質の量の推計に役立つ。今のうちにできるだけ多く保存しておくべきだ」と医療関係者らに呼びかけている。【牧野宏美】 東神戸診療所(神戸市中央区)の所長、郷地(ごうち)秀夫さん(64)は、原爆被害者の医療に約30年間取り組み、03年から全国で始まった原爆症認定集団訴訟も医師団として支援した。判決は原告の訴えを相次いで認めたものの、国は「残留放射線による内部被ばくの影響は科学的立証
文部科学省は27日、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故後の対応を検証した報告書を公表した。緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の拡散予測を当初公表せず、住民避難に活用されなかった点について、データの信頼性に疑問があったが、住民に提供する意味は「否定することまではできない」と、初めて非を認めた。また学校の校庭利用の目安となる放射線量の数値を「年間20ミリシーベルト」として混乱が生じたことについては「保護者の不安に真摯(しんし)に応える姿が十分でなかった」と反省した。(3面にクローズアップ、27面に検証結果要旨) SPEEDIを巡っては、政府の事故調査・検証委員会の最終報告書が、文科省や経済産業省原子力安全・保安院などを「具体的な避難の検討に活用せず、公表する発想もなかった」と批判した。 これに対し文科省の報告書は、防災基本計画などに基づき、昨年3月11日にSPEE
地域政党「減税日本」代表の河村たかし名古屋市長は23日、定例記者会見で「増税がシンボルになってる今の民主党ではいかん。原発もいかん」などと述べ、次期衆院選で民主党と対決する姿勢を改めて示した。 河村市長は「消費税増税もマイナンバーも(最初は民主党も)そういうはずじゃなかった。党にイデオロギーがあるとは思えない。対決姿勢でおります」と民主党を批判した。原発への対応についても「原発は自民党のしがらみ。しがらみを破るのが民主党ではないのか」と指摘した。 また、次期衆院選に向けた減税日本の政策について、5月中に方向性を出すことを明らかにしたうえで「争点は消費税増税、脱原発、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)をどうするか、ということになると思う」と述べた。 市議会最大会派「減税日本ナゴヤ」が3会派に分裂したことについては「市民の期待を誤解している。国政でいれば比例代表みたいなもの。一丸となって既
チェルノブイリ原発事故後、ベラルーシ住民の健康被害を研究してきたユーリー・バンダジェフスキー元ゴメリ医科大学長が来日し19日、東京都内で会見した。数千人の病理解剖に携わった同氏は、放射性セシウムによる子供の突然死の危険性を指摘。日本に対しては、高線量地域の全住民に対する内部被ばく調査の徹底を訴えた。 同氏によると、心筋細胞は分裂しないためセシウムが心臓に蓄積しやすい。「幼児は体重1キログラム当たり20~30ベクレルでも心拍に乱れが出て、50ベクレル以上だと突然死の可能性が高くなる。また妊娠中、胎盤に1キログラム当たり200ベクレル以上のセシウムがあると、新生児は肺が発達せず突然死につながりうる」と述べた。原発から30キロの地区では若い世代を中心に、人口1000人当たり約30人が死亡した年があり、出生率を大きく上回ったという。 福島県民の内部被ばく調査でも、20ベクレル以上の子供が見つかって
原発事故発生時の被ばく対策見直しを検討している内閣府原子力安全委員会の分科会は7日、甲状腺被ばくを防ぐ安定ヨウ素剤を40歳以上でも希望すれば服用できるとの提言案を示した。 従来は、40歳以上は必要がないとして対象を40歳未満としてきたが、最新の研究結果から40歳以上でも放射線ヨウ素による甲状腺被ばくの可能性が指摘されているため対象に含めた。今後改定する防災指針に、安定ヨウ素剤は原発から半径30キロ圏内の各家庭に事前配布することが有効との提案が盛り込まれる。 また、分科会では、最も早く被ばく事故に対応し、現在は原発から2、3キロ以内で指定している初期被ばく医療機関を、原発から比較的離れた場所でも指定すべきだとの提言案も示された。東日本大震災で初期被ばく医療機関も避難対象となり、機能しなかった反省を踏まえた。 また、分科会に出席した東京電力の産業医、菊地央(ひろし)医師が福島第1原発事故で復旧
◇自家栽培作物含む献立で検出 暫定規制値は下回る 日々の食事で、どのくらいの放射性物質が体内に取り込まれるのか。毎日新聞は、全国11カ所に住む本紙記者とその家族ら11人の3日間の食事に含まれる放射性セシウムを、首都大学東京の福士政広教授(放射線安全管理学)の協力で調べた。福島県伊達市などで一般に流通していない自家栽培の農作物を食べた3人の食事から、セシウムが検出されたが、暫定規制値以下だった。【中村美奈子】 調査は11月13~15日に実施。▽間食や外食を含むおかず▽生米▽飲料水に分け、おかずは全種類から一部を取り分けて1日分をミキサーにかけ、100ミリリットルの測定容器に入れた。生米と水は別個に測定容器に詰め、福士研究室がゲルマニウム半導体検出器で1試料(容器の中身)2時間ずつ測定した。 検出限界値を超えたのは▽伊達市▽宮城県白石市▽群馬県高崎市。伊達市は自家栽培の玄米から1キロ当たり24
東京電力福島第1原発事故から2週間後の3月25日、菅直人前首相の指示で、近藤駿介内閣府原子力委員長が「最悪シナリオ」を作成し、菅氏に提出していたことが複数の関係者への取材で分かった。さらなる水素爆発や使用済み核燃料プールの燃料溶融が起きた場合、原発から半径170キロ圏内が旧ソ連チェルノブイリ原発事故(1986年)の強制移住地域の汚染レベルになると試算していた。 近藤氏が作成したのはA4判約20ページ。第1原発は、全電源喪失で冷却機能が失われ、1、3、4号機で相次いで水素爆発が起き、2号機も炉心溶融で放射性物質が放出されていた。当時、冷却作業は外部からの注水に頼り、特に懸念されたのが1535本(原子炉2基分相当)の燃料を保管する4号機の使用済み核燃料プールだった。 最悪シナリオは、1~3号機のいずれかでさらに水素爆発が起き原発内の放射線量が上昇。余震も続いて冷却作業が長期間できなくなり、4号
◇福島と同じ「レベル7」、現地で医療活動5年半の専門医に聞いた ◇放射性ヨウ素、セシウムの健康影響「注意すべきだ」 広範囲に放射性物質をまき散らし、健康被害が懸念される福島第1原発事故。特に心配なのが子どもたちへの影響だ。福島と同じく最も深刻な「レベル7」とされる旧ソ連・チェルノブイリ原発事故では、何が起こったか。同事故で汚染されたベラルーシで5年半、医療活動をした甲状腺がん専門医で長野県松本市長の菅谷昭さん(68)らに聞いた。【宍戸護】 「(呼吸や食べ物を通して体内に取り込まれた放射性ヨウ素による)内部被ばくの典型的ながんの症例が、チェルノブイリの子どもの甲状腺がんです」。11月12日、松本市の波田文化センター。放射能による健康被害についての講演会で、菅谷さんは甲状腺の図が映し出されたスクリーンを背に市民に語りかけた。「官房長官は『ただちに影響は出ない』と言いましたが、内部被ばくの場合は
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