本報告では、インターネットのWWW(World Wide Web)で利用されるハイパーリンク(リンク)に倫理問題があるのかどうか考察する。 ホームページにリンクを張ったことで法的責任が問われている事件が、最近2つある。一つは、96年に関係者が逮捕されたいわゆるFLMASK裁判(岡山地裁および大阪地裁)の事例である。この事件では、わいせつ画像の可逆的な修正にも使われるマスキング・ソフトの作者が相互リンクによってわいせつ物陳列罪の幇助に当たるとして起訴され、99年2月現在も係争中である。 もう一つは、96年の広島県のプロバイダの役員が逮捕されたケースである。このケースでは、広島県のプロバイダが自社のWWWページからわいせつな情報がない会員ページにリンクしたところ、この会員ページがわいせつ画像のあるホームページにリンクしていたことから、わいせつ物陳列罪に当たるとして、広島県警に同社の役員が逮捕さ