年末の雑用を種々片付けながら、メディア論を専攻する大学の先生から「読んでください」と渡されていた本を見つけ、パラパラとめくっていた。「ジャーナリズムの情理-新聞人・青木彰の遺産」という1冊で、産経新聞社から出ている。「一昨年死去したマスコミ界の重鎮で筑波大学名誉教授・青木彰氏の仲間と弟子たちがジャーナリズム復権へ、思想や立場を超えてつづった」内容だが、私が一番引かれたのは、高知新聞の依光隆明社会部長さんが書かれた一文である。高知は私の郷里で、依光さんも既知の方ではあるが、この本に収録された依光さんの文章は、やはり、「志」の塊みたいなところがある。 <「一人旅」の十五年―高知新聞の試み>という文章の中で、依光さんは1990年代の初頭から、高知新聞のスタンスは変わったのだと書いている。最初は高知県庁のカラ出張問題だったらしい。今では役所の不正経理は「常識」みたいになってしまったが、当時は今以上