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novelとlifeに関するmoronbeeのブックマーク (1)

  • 『空白を満たしなさい』著:平野啓一郎現代を「幸福に生き、死ぬ」ということ()

    年を取るにつれて、亡くしてしまった愛する人の数は、段々と増えてゆく。 普段は、そんなことは気にせずに生きている。当たり前のように仕事をし、事に出かけ、友達と由なしごとを語り合う。しかし、日常生活の中には、どうしても、他の誰でもなく、あの人にこそ聴いてほしい、という出来事が起きる。たとえその相手が、今はもう死んでしまっていても。亡くなった人が無性に恋しくなるのは、そういう時である。 あの人が、もし今、生きていたなら? 私たちは、時々そういう埒もないことを考える。私の場合、父がそういう存在だった。 私の父は、三十六歳の時に急死している。私はその時、一歳だったから、父のことは何も覚えていない。物心ついた時から、父がいないのは当たり前だったので、それを特に悲しいと思ったことはなかった。ただ、そんなふうに、人間はある日、突然死ぬんだと思うと、ひどく不安になった。それが、私の実存感覚の根である。

    『空白を満たしなさい』著:平野啓一郎現代を「幸福に生き、死ぬ」ということ()
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