「もう朝か……?」 身体を揺すられて志朗が起きると、そこは夢の中だった。無数の白人形に囲まれている。 「あんたはそこで見とき」 ロンがチャイナドレスを着て、あの廊下に立っている。 「まかしときいな」 そう言って素手のまま白人形に単身突っ込み、鮮やかな蹴りで片端からなぎ倒す。功夫だ。燕青拳か。柔軟な肢体を優雅な歩法で運用する。スマートで長い足が蹴るたび高く上がった。 「身体が軽いわあ。マッサージの甲斐あったな」 息も切らさず楽しそうに語る。白人形が次々壁や床に吸収されて消えていき、最後の一体を倒すと、あの黒人形が来た。 「あんなもん小ボスや小ボス」 突進した彼女はもの凄いで蹴りを繰り出す。身体が何回も舞って一方的に叩き込む。そして最後に廻し蹴りを叩き込むと、あの巨体が宙を舞った。床に叩きつけられると染みとなって吸い込まれていく。 「やった!!」 しかし、いきなり視界の外から平手打ちを食らう。