「金魚の魚拓を一枚作ってくれませんか、形は天から火のように墜ちてくる恰好、つまり頭が地上に向き、尾が天に向く恰好、にして」ある日、若き編集者であった著者のもとに届いた室生犀星からの一枚の葉書。やがて魚拓が完成し、その手を離れるまでのなやましい日々を描いた「炎の金魚」ほか、名ブック・デザイナーにして名文章家による40篇のエッセイ。装幀やルリユール(製本工芸)、様々な出会いについて、ひとつひとつの出来...を、丁寧に、丹念に、たしかめるように書く。まるで、手仕事そのもののような味わい。show more