スウェーデン王立科学アカデミーは6日、2021年のノーベル化学賞を、多彩な分子を作り出すための不斉有機触媒を開発した独マックス・プランク石炭研究所のベンジャミン・リスト所長・教授(53)と、米プリンストン大学のデビッド・マクミラン教授(53)の2氏に授与すると発表した。 2019年の吉野彰氏以来となる、日本人の化学賞受賞はならなかった。 触媒は、化学反応を速めるために用いる物質で、それ自体は反応の前後で変化しないもの。化学研究に不可欠で、金属と酵素が用いられてきた。こうした中、両氏は2000年、それぞれ独立に「不斉有機触媒」と呼ばれる第3のタイプの触媒を開発した。酸素や窒素、硫黄、リンなどの一般的な元素でできており、環境に優しく安価に製造できる利点がある。 右手と左手のように、有機化合物を作る原子の数や種類が同じなのに、鏡写しのように向きが反対の物質を「鏡像体」という。両者は性質が異なるた
【12月4日 AFP】サルの脳に電極の付いたインプラントを埋め込み、網膜を通さずに人工的に誘発させた高解像度のパターンを脳内で直接認識させることに成功したと、オランダ神経科学研究所(NIN)のチームが3日、米科学誌サイエンス(Science)に発表した。目の見えない人の視力を取り戻す技術の実現に、また一歩近づいた。 この技術は、パソコン画面上の小さな点の集まりを画像として認識するように、脳に電気的な刺激を与えて発生させた「眼内閃光(せんこう)」という小さな光点を「見る」という数十年来のアイデアに基づいている。 NINのピーテル・ルールフセマ(Pieter Roelfsema)所長率いる研究チームは、1024個の電極を持つインプラントを開発し、これまでにない高解像度を実現した。電極の数も解像度の高さも、前例のないレベルだとしている。 このインプラントを脳の後頭葉にある視覚野に埋め込んだサル2
科学的な実験の結果、このポテトチップスを食べるかどうかを判断する基準は、3秒以内に拾うかどうかといった時間の問題ではないことが判明した。(PHOTOGRAPH BY LORI ADAMSKI PEEK) 私たちは子どもの頃から、ある疑問につきまとわれている。落とした食べ物は、はたして食べても安全なのだろうか? 答えのひとつに、素早く拾えば大丈夫というものがある。いわゆる「3秒ルール」だ。よく似たルールは世界中にあり、米国では「5秒ルール」と呼ばれている。 それだけに、こうしたルールにさしたる根拠があるとは思えず、世界各地の家族の論争や科学展でもおなじみのテーマになっているが、2500回以上も科学的に測定を行った興味深い実験の結果があるので紹介しよう。 米ラトガーズ大学の食品科学者ドナルド・シャフナー氏らが、2016年に学術誌「Applied and Environmental Microb
世界的な公衆衛生上の問題「子宮頸がんの排除」に向けたWHOスライドの日本語翻訳版を掲載しました。以下のバナーからパワーポイントスライドをダウンロードし、ご利用下さい。 より詳しい情報は、下のバナーからご覧いただけます。(2023/4/20:Part3を更新しました) 『子宮頸がんとHPVワクチンに関する最新の知識と正しい理解のために』 初版 2018年3月12日 第2版 2019年12月7日 第3版 2020年7月10日 第3.1版 2020年7月21日 第3.2版 2021年1月8日 第3.3版 2022年4月27日 第4版 2022年7月27日 第5版 2023年4月1日 1. 子宮頸がんとHPV 1)日本における子宮頸がんの最近の動向はどうなっていますか? 子宮頸がんは年間約1万人が罹患し、約2,800人が死亡しており、患者数・死亡者数とも近年漸増傾向にあります。特に、他の年齢層に比
米ハーバード大が無償公開しているプログラミング入門講座を日本語に訳したWebサイト「CS50.jp」が公開された。プログラミング教育ベンチャーのLABOTが、「コロナ禍などで大学のキャンパスの環境が不安定になる中、多くの学ぶ意欲がある学生に、良質な教材に母語でアクセスしてほしい」と翻訳作業を進めてきたという。 公開したのは、ハーバード大コンピューターサイエンス学部のデビッド・J・マラン教授が、無料オンライン教育サービス「edX」で公開している人気講座「CS50」のうち、コンピュータサイエンス入門と、Python・JavaScriptを使ったプログラミング講座を日本語訳したもの。YouTubeの英語教材とあわせ、日本語のテキストで学べる。 CS50は、非営利で再配布・改変可能なクリエイティブ・コモンズライセンス(CC BY-NC-SA 4.0)で公開されており、非営利なら改編や再配布が可能だ
ベラルーシのミンスクにある甲状腺センターでは、1986年のチェルノブイリ原発事故で発生した放射性降下物に曝露して甲状腺に深刻なダメージを受けた患者の治療が行われている。(PHOTOGRAPH BY GERD LUDWIG, NAT GEO IMAGE COLLECTION) チェルノブイリ原子力発電所の事故から今年で35年。事故が人々の遺伝子に及ぼした影響を徹底的に調べた研究結果が、4月22日付けで学術誌「サイエンス」に発表された。その2本の論文で明らかになった詳細は、私たちの不安を和らげるような内容だ。 1986年4月26日の朝、現在のウクライナ北部にあったチェルノブイリ原発の原子炉が爆発・炎上し、史上最悪の原子力事故が発生した。激しい火災で雲のようにわき上がった放射性物質が降下して周辺地域に住む人々の肺に入り、家や畑や牧草地に積もり、食べ物などに入り込んだ。ある原子力技術者の言葉を借り
特に文系の人にとって、物理や化学は縁遠い世界。一見もっともらしい用語で説明されると、わからないまま信じてしまうこともあるだろう。そんな事例はいくつもある。ナショナル ジオグラフィックの別冊『科学の迷信 世界を惑わせた思い込みの真相』から物理と化学に関する迷信を紹介する。 一酸化二水素は危険? 1980年代初頭。ミシガン州デュランドに拠点を置く「デュランド・エクスプレス」紙は、都市の水道に化学物質「一酸化二水素(DHMO)」が入っていると報じた。その物質は「皮膚に激しい水ぶくれを引き起こす蒸気」を生成するという。カリフォルニア大学の学生たちはこれに便乗し、「一酸化二水素禁止連合」を創設。さらに、この運動に刺激を受けたアイダホ州の中学生ネイサン・ゾナーが、DHMO禁止を求める請願書を高校の新入生たちに回覧した。 研究者は、DHMOを癌性腫瘍や酸性雨の中で検知したという。DHMOは温室効果や熱帯
新型コロナウイルスのワクチン開発において、日本は世界のトップグループのスピードについていけなかった。 行政と医療機関、国民の間で必要な情報交換や手続きでは、デジタル化における後進性が露(あら)わになった。 コロナ禍で炙(あぶ)り出された日本の現状である。 科学技術に関して「日本は先進国である」という思い込みは、捨てなければならない。 このままでいいはずはない。 産官学と国民が総力を結集して日本の科学技術の立て直しを図る必要がある。 日本の科学力の危機的な低落傾向は、平成20年前後から繰り返し指摘されてきた。多くのノーベル賞受賞者や英科学誌は、研究開発への投資額の少なさ、短期的成果偏重の弊害、若手研究者の不安定な身分-などの要因を挙げた。 政府は令和2年度から若手研究者支援策を始めたが、科学力のV字回復を実現するためには、経済界や国民を幅広く巻き込んで、日本社会の科学力を向上させる必要がある
大阪市などが出資する公益財団法人「大阪バイオサイエンス研究所」(OBI、大阪府吹田市)が3月末で解散することが3日、OBIや大阪市への取材でわかった。人件費などにあてていた大阪市からの補助金が今年度で打ち切りとなり、存続できなくなった。大阪市が所有する土地と建物は理化学研究所(埼玉県和光市)に無償譲渡されるが、約30年にわたって生命科学分野で世界的業績を残した研究機関は姿を消す。 OBIは大阪市制100周年を記念し、同市や企業が出資する形で昭和62年に設立。脳科学や神経の研究を中心に手がけ、ネイチャーなどの科学誌に多数の論文が掲載されている。研究費は国などの補助金で、人件費や施設管理費は大阪市の補助金で賄(まかな)ってきた。 だが、橋下徹市長が24年に打ち出した市政改革プランで、「自治体が運営を助成する必要がない」として、26年度限りでの補助金廃止を決定。23年度は6億2千万円だったが、2
科学的に「ゲームをプレイすること」と「暴力的であること」に関連性はないことが示されていますが、「暴力的なゲームを規制すべき」という主張は根強く存在しており、度々「暴力的な事件の一因である」と批判され続けており、実際にゲーム側に悪影響も及ぼしています。このような状況に対して、アメリカ心理学会(APA)は「暴力的なゲームを現実の暴力に結びつけること」は間違いであると警告しています。 APA RESOLUTION on Violent Video Games (PDF)https://www.apa.org/about/policy/resolution-violent-video-games.pdf APA warns against linking violent video games to real-world violence | Ars Technica https://arstec
ヒトのiPS細胞などを使って、受精卵から胎児になる初期の段階で見られる「胚盤胞」のような細胞の塊を作ることに成功したと、アメリカなど2つの研究グループが発表しました。専門家はヒトの発生や生殖医療の研究に役立つ一方、細胞から生命を作り出すことにもつながりかねず、倫理的な課題も生じると指摘しています。 研究はアメリカのテキサス大学のグループとオーストラリアのモナシュ大学のグループがそれぞれ行い、科学雑誌「ネイチャー」に発表しました。 このうちテキサス大学のグループは、ヒトのiPS細胞やES細胞を刺激を与える化学物質を含む液体が入った特殊な容器の中で培養し、受精から数日でできる「胚盤胞」のような細胞の塊を作り出したとしています。 また、モナシュ大学のグループはiPS細胞になる過程の細胞から同様の細胞の塊ができたとしています。 こうした細胞の塊ができたのは初めてで、それぞれ形や大きさ、細胞の数など
食べ物を床に落として「3秒以内に拾えば食べても大丈夫!」という「3秒ルール」を適用したこと、ないだろうか? 食べ物を床に落として果たしてどれだけのバクテリアが食べ物に付くかを真面目に調べた科学者が、「3秒ルールはアリ」と結論付けた。 87%の人が床に落ちた食べ物を食べた経験あり なんの根拠があるのか分からないこの「3秒ルール」、秒数の違いはあれど、実は世界各地に似たようなルールが存在する。英語圏では「5秒ルール」が一般的だ。 デイリー・メールが報じた、英国バーミンガムにあるアストン大学のアントニー・ヒルトン教授が500人を対象に行なった調査によると、87%の人が床に落ちた食べ物を食べたことがあると答えた。また、5秒ルールを適用しているのは女性の方が多いということが分かった。 ヒルトン教授はこの5秒ルールの有効性を科学的に検証しようと、さまざまな種類の床にさまざまな種類の食べ物を落として実験
集団免疫の歴史からは、新型コロナウイルスに打ち勝つためには有効なワクチンが必要である理由が見えてくる。上は1796年5月14日、8歳の少年ジェームズ・フィップスに初めて天然痘の予防接種を行うエドワード・ジェンナー(1749〜1823年)。油絵。(PAINTING BY ERNES BOARD, DEA PICTURE LIBRARY, GETTY IMAGES) エドワード・ジェンナーやルイ・パスツールら、疫病と闘った初期の研究者たちは、十分な数の人々がワクチンを接種すれば感染症を根絶できるのではないかと、うすうす感じていた。 20世紀初頭、この考え方に着目した獣医師たちが「集団免疫(herd immunity、群れの免疫の意)」という言葉を作った。1920年代にはマウスを使った研究を通して集団免疫の考え方は注目を集め、人口のごく一部が免疫を獲得すれば、感染症の流行を防げるという楽観的な見
【3月28日 AFP】世界保健機関(WHO)が提案しているエタノールを使った消毒液の作り方を図解でまとめた。医療従事者であれば自作することができる。 【図解】せっけんの秘密、手の汚れを落とす最適の物質 <10リットル分の材料> 濃度96v/v%のエタノール:8333ミリリットル、98%のグリセリン:145ミリリットル、3%の過酸化水素(H2O2):417ミリリットル (1) エタノールを容器に注ぐ (2)H2O2をメスシリンダーで入れる (3)グリセリンをメスシリンダーで入れる (4) 精製水または煮沸し冷却した水を、溶液が10リットルの目盛りに達するまで加える (5) 蒸発を防ぐために素早くふたを閉め、容器を軽く振って混ぜる (6) すぐに100ミリリットルか500ミリリットルの容器に分ける。混在した芽胞が死滅するように72時間置く 濃縮アルコールが手に入る場合は濃度を確かめ、推奨濃度に
by DarkoStojanovic 近年では反ワクチン派の台頭などが大きな社会問題となっています。この問題に対してFacebookがワクチンにまつわる誤情報拡散対策に乗り出したり、Amazonが「漂白剤を飲むことで自閉症の治療が可能」とする本をサイト上から削除したりするなど、大手テクノロジー企業は対策の動きを見せています。Googleも新たに「科学的根拠のない医療広告を排除する」という姿勢を打ち出しました。 A new policy on advertising for speculative and experimental medical treatments - Google 広告 ヘルプ https://support.google.com/google-ads/answer/9475042 ヘルスケア、医薬品 - Google 広告ポリシー ヘルプ https://suppor
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