*玄関に黄色いものを置けと姑に言われて買った傘。黄色じゃなくて山吹色。 どうせ誰も見ていないと嘯き、晴れの日にも曇りの日にも日傘でなく雨傘をさし続けていたわたしだが、実際は出掛けるたびにその先々で「あら雨?」と問われていたし、すれ違うひとが降水を確認するように手のひらを空に向けることもあった。そうしていたのは単に日傘が壊れてしまったからだ。さらに冬だったためか、店頭でそれを見ることもなかった。雨も降っていないのに傘をさすのはやめて恥ずかしいと子どもに抗議されたけれど、そんなおまえのちんけな自意識なんか犬に喰わせておしまいと言って、それを無視した。殴られた。だって売っていないのだからしかたがないでしょう?この分からず屋め。今日やっと店頭にそれは並んでいて、いろいろあるなかからフリルのついた黒いのを選ぶ。とくに気にいったわけでもないが、これでいい。500円。安いしすぐ壊れるかもしれないけれど、