<南部の玉林で毎年開催される犬肉食イベントは、最底辺層の住民の生活を支えているが、その不衛生さと残酷さは目に余る> 毎年、夏至を迎える時期になると、中国は「犬戦争」に揺れる。人類史上前例がないこの戦争は南部の広西チワン族自治区の玉林市で開催される恒例の「犬肉祭り」をめぐる攻防だ。 毎年6月21日から行われるこの祭りは「伝統行事」と銘打たれているものの、始まったのは2010年と歴史は浅い。それまで一般の中国人は国内の犬肉産業の存在に目をつぶっていたが、玉林の犬祭りが始まると無関心ではいられなくなった。この祭りに真っ先に抗議の声を上げたのは国内の活動家たちだ。 祭りを開催する犬肉業者に言わせれば、この地域はもともと犬肉食が盛んで、夏至の日に犬肉を食べる習慣があったというが、この主張は疑わしい。中国・山東大学の郭鵬(クオ・ポン)教授が玉林で行った調査で、犬肉は地域全体に浸透した日常食ではないこと