「リアル」に働く電子化した機器の裏には、必ず「バーチャル」を担当する機器がある。実際の運転には関係ないが、ドライバーに操作した感覚を味わってもらうための機器だ。今回、論理的なリアルと感覚的なバーチャルの両者をつなぐ部分で、問題は起きた。 「プリウス」で採用している電子制御ブレーキのペダルや、最近の自動車のアクセルペダルは、実は単なるスイッチである。根元の角度センサーが「何度動いています」という信号を出すだけだ。信号を受けたコンピューターの指令に従い、モーターや電磁弁が「リアル」にクルマを操作する。自動車の“電子化”はそこまで進んでいる。 これだけではペダルはフラフラで、運転者は気持ちが悪い。そのため、踏み応えを「バーチャル」に作る。“運転シミュレーションゲーム”のようなものだ。電子化したクルマには、このリアルとバーチャルが混在している。その連係のまずさが、一連の問題を引き起こしたと見られる