「この植物はとんでもない可能性を秘めている」 2010年当時、大学院に在籍していた小川は、砂漠緑化研究の一環として研究室に取り寄せられていたカラハリスイカに知れば知るほど魅了されていった。 カラハリスイカとは、アフリカ南部のカラハリ砂漠を原産地とするスイカの一種で、東京の2倍の紫外線が降り注ぐと言われる厳しい環境でみずみずしく生きるため、「奇跡のスイカ」とも呼ばれている。果実全体の約97%が水分で、保水力に優れ、極めて腐りにくく乾きにくいという特質を持つ、まさに奇跡の植物だ。 カラハリ砂漠は多量の紫外線が降り注ぎ、年間降雨量は250mm~500mmと極度な乾燥地帯。加えて、夏季では日中の最高気温が40℃近くになる一方で、冬季は寒く、2℃まで気温が下がることもある過酷な環境。 このような環境下でも繁殖できる貴重な食糧として重宝され、砂漠で暮らす人々や野生動物など多くの生命に潤いを与えている。