西日本豪雨から2年がたった今でも、広島県東広島市では復旧工事の終わりが見えない状況だ。人手不足などを背景に、入札の4割が「不成立」という。遅々として進まない地方の対策工事は、災害大国ニッポンの課題を浮き彫りにしている。 熊本県南部を中心に死者・行方不明者が80人を超えて甚大な被害となった九州豪雨。被害は列島各地に広がり、広島県の東広島市河内町宇山では土砂崩れが発生して住人の親子2人が死亡した。 東広島といえば、200人以上の犠牲者を出した2018年7月の「西日本豪雨」で被害が大きかった地域の一つだ。250戸超が全半壊し、関連死を含めて東広島市での死者は20人に及んだ。 再び豪雨被害に見舞われたが、聞けば西日本豪雨の復旧・復興工事がまだ終わっていないという。2年が経過してもまだ復旧が進まない現地に、また豪雨の季節が押し寄せようとしている。 「何とか今年度中に契約までは終わらせようと前年度比3
伊藤忠商事は7月8日、子会社のファミリーマートに対し、リース大手の東京センチュリーと共同でTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。株式併合を経て上場を廃止する狙いで、総コストは約5800億円。成長の踊り場に差し掛かったコンビニエンスストアの事業モデルを抜本的に改革し、その先はファミマを軸にした事業再編を見据えているもようだ。
欧州では、ユーログループ(ユーロ圏財務相会合)の議長であるセンテノ・ポルトガル財務相が2期目を目指さないことになったため、その後任選びがあり、アイルランドのドナフー財務相が2回の投票に勝利して7月13日に就任した。 これより前、次期ユーログループ議長選びに名乗りを上げた1人だったスペインのカルビニョ副首相・経済相は3日、新型コロナウイルス感染拡大への対応で債券を発行することによって欧州連合(EU)が負うことになる規模の大きな債務に関して、「将来的に返済される」「債務の長期的な持続可能性は保証されており、欧州がこれまでもそうしてきたように、責任を持って計画し、行動している」と言明した。 財源調達への責任を強調したスペイン副首相 欧州委員会が提案した7500億ユーロの復興基金が実現する場合、財源はEUが発行する債券になるとみられているわけだが、その償還に向けた将来の何らかの形での財源調達にしっ
世界中で新型コロナウイルスが猛威を振るう中、日本で注目を集めたことの一つが「押印」だった。緊急事態宣言に伴う外出自粛で在宅勤務を増やした企業でも、企業間の契約書や行政機関への申請書などへの押印のために出社を余儀なくされたビジネスパーソンがいたからだ。押印のために外出しなければならない人たちに同情が集まる中、政府が公表した押印に関する見解が話題を呼んでいる。 内閣府、法務省、経済産業省が連名で6月19日に「押印についてのQ&A」を公表した。押印に関する民事訴訟法上の解釈について公式に示したものだ。「法律実務家からすると当たり前のことが記されているが、改めて法解釈を整理して政府見解として示した効果は民間企業にとって大きい」(祝田法律事務所の西岡祐介弁護士)という。 ポイントは大きく2つある。法的に押印を求める必要がないケースまで相手方に押印を要求する必要はないという点、そして特別に定められてい
新型コロナウイルスの影響で人の移動や接触が制限され、今まで以上にインターネットが欠かせなくなった。日本で最初に商用のネット接続サービスを始めたインターネットイニシアティブ(IIJ)の鈴木幸一会長兼CEO(最高経営責任者)は企業や社会の変化をどう見るのか。急速に広がるテレワークを題材に聞いた。 鈴木幸一(すずき・こういち)氏 1946年生まれ。日本能率協会を経て、92年にインターネットイニシアティブ企画(現在のインターネットイニシアティブ)を設立して取締役となり、94年に社長就任。郵政省(当時)と1年以上に渡って折衝、同年に商用のネット接続サービスを始めた。以後、企業向けの接続サービスだけでなく、セキュリティーやクラウドサービス、MVNO(仮想移動体通信事業者)など事業を拡大。現在、会長兼CEOを務める(撮影:古立康三) 新型コロナの影響で、テレワークが急速に広がりました。ネットがなかったら
新型コロナウイルスの感染拡大は世界中の人々の生活を一変させた。都市封鎖、非接触、移動制限──、収束後もすべてが元に戻るわけではなく、ヒト、企業、国などが営みを続ける上で新たな前提条件となるものもある。半年前には想像もしなかった世界各地のニューノーマルを追う。 (4月、タイのバンコクにある寺院で、フェースシールドとマスクを着用して仏教を学ぶ若手僧侶。一見異様な光景も、今後の「当たり前」になる可能性がある。写真=ロイター/アフロ) (ニューヨーク支局 池松 由香、上海支局 広岡 延隆、ロンドン支局 大西 孝弘、バンコク支局 飯山 辰之介、鷲尾 龍一)
化学合成で作った薬物は、薬効が高い半面、がん細胞だけでなく、正常な細胞にも影響を与えるため副作用を起こしやすい。一方、抗体を使った医薬品は、特定のがん細胞だけを直接、攻撃するので副作用は少ないが、化学合成薬に比べて薬効が劣る。 そんな化学合成薬と抗体医薬の利点を組み合わせたのがADCだ。第一三共のエンハーツは、一部のがん細胞の表面に現れる「HER2(ハーツー)」を標的にする。HER2を狙う抗がん剤はこれまでもあったが、それらの薬が効かなかった乳がんに効果を示した。 第一三共では今後、HER2が細胞表面にある胃がんや大腸がん、肺がんなどにも使えるようにしていく計画だ。グローバル販売に向けて19年3月に英製薬大手のアストラゼネカと提携。アナリストの中には、エンハーツの売上高が年7000億円から9000億円程度に達すると予想する声もあるほどだ。 エンハーツの「すごみ」は、抗体にくっつける薬物の数
政府は5月25日、残っていた首都圏と北海道についても緊急事態宣言を解除した。夕方に発表される東京都の新型コロナウイルス感染者数が低水準にとどまる⽇が増えたことから、経済に対する「ブレーキ」が緩められる日はどうやら近そうだと多くの人が感じていたので、世の中にさほどの意外感はない。 月次で結果が公表される企業景況感の調査、QUICK短観の5月分が同月18日に発表された(調査期間:4月28日~5月13日)。調査対象は上場企業で、今回の回答社数は333である。 注目が集まりやすい業況判断DI(回答比率「良い」-「悪い」)は、製造業がマイナス33(前月比マイナス7ポイント)で、4カ月連続で低下し、09年6月以来の水準である。非製造業はマイナス21(同マイナス9ポイント)で、3カ月連続の低下。新型コロナウイルス感染拡大抑止策が影響して、いずれも厳しい結果になった。 個人消費も設備投資も2四半期連続で前
特別定額給付金や政府によるマスクの配布など、政府の新型コロナウイルスへの対応ではデジタル化の遅れが指摘されることが多くなった。「自分が自分であること」を証明できるサービスがスムーズに進まなければ、政府が言うような「世界最先端デジタル国家」もなかなか進まない。こうした個人情報のサービスはどのように進展していくのだろうか。注目を集めるのが、ブロックチェーンを使ったデジタル身分証明技術だ。 「特別定額給付金」はオンラインで申請できるものの、自治体の窓口で混乱が相次いだこともあって、一部の自治体が郵送での申請を呼びかけた。また、台湾などがアプリを使い薬局やコンビニエンスストアでマスクを配布したのに比べ、日本は1世帯ずつマスクを配るなんともアナログな仕組みだ。 いずれも日本でネックになったのは「自分が自分であること」の証明をいかに実施するか、ということだ。日本には国民に12桁の背番号を割り振る「マイ
2019年時点で、日経ビジネスの取材に対して「2020年にも未曾有の危機が到来する」と予言していた世界的な投資家のジム・ロジャーズ氏。5月下旬に日経BPから出版する新刊『危機の時代 伝説の投資家が語る経済とマネーの未来』では、大恐慌から、ブラックマンデー、リーマン・ショック、新型コロナウイルスまで、繰り返される危機の本質と、その最中にどのように行動すべきかについて詳細に読み解いている。 2020年3月中旬に新型コロナウイルスの感染が拡大する中で実施したインタビューに続き、5月19日に同氏を再取材した。世界の先進国で感染拡大が一段落し、日本でも緊急事態宣言が徐々に解除されつつある今、ロジャーズ氏は世界をどう見ているのか。3回に分けてお届けするインタビューの1回目では、新型コロナの影響に対する見方と、再び日本株を買い始めた理由を掲載する。 2020年3月18日に掲載したインタビュー記事「ジム・
「スマホは?健康コードを見せて」 上海市内で商業ビルに入ろうとすると、守衛に呼び止められてこう要求された。 健康コードとはスマホ画面上で表示するQRコードで、持ち主の新型コロナウイルスの感染リスクを示すものだ。5月11日に3カ月半ぶりに再開した上海ディズニーランドでも、入場時には健康コードの提示が求められた。 新型コロナ対策が進む中で中国各地の様々な施設や公共交通機関で健康コードを確認することが当たり前になり、「デジタル通行手形」として機能している。ここ数年、電子マネー決済の普及で中国ではスマホが手放せなくなっていたが、今はスマホ抜きには自由な移動すらままならない。 健康コードのシステムは各地方によって異なるが、基本的には今や中国人なら誰でもスマホに入れていると言っても過言ではない「アリペイ(支付宝)」や「ウィーチャット(微信)」といったアプリを利用する。 利用の流れはこうだ。まず、施設ご
新型コロナウイルス対策として、全国民に一律10万円を給付する「特別定額給付金」を巡り、マイナンバーカードがにわかに注目を集めている。給付金のオンライン申請を促して感染症対策にもなるはずだったが、市区町村の窓口に来庁者が相次ぎ、かえって「密」を生む皮肉な事態になっている。 「来庁いただく必要のない、郵送申請をご検討ください」 東京都品川区はTwitterで区民にこう呼びかけている。マイナンバーカードの暗証番号や署名用電子証明書のパスワードを忘れたり、住所変更などでカードが失効したりして、窓口を訪れる人が増えているからだ。 2008年のリーマン・ショック時に実施した給付金は、郵送手続きで実際の支給が翌年になったという反省から、オンライン申請の迅速さが期待されていた。米国は社会保障番号を活用して政府が銀行口座に支援金を振り込み、法律成立から約2週間で支給が始まっている。 マイナンバー制度は、外国
新型コロナウイルスの感染拡大は人々の生活を一変させた。収束後もすべてが元に戻るわけではなく、人、企業、国などが営みを続けるうえでの新たな「常識」となって定着しそうなものも多い。各地で芽吹いている「ニューノーマル」を追う。米国編第1回のテーマは「大統領選の行方」。 米ロサンゼルス(LA)でコンサルティング業などを手掛けるアンドリュー・リーダーさん(39歳)は、こうさみしそうに話し始めた。母親が日本人で父親は米国人。ドナルド・トランプ米大統領を支持する若手グループをまとめるリーダーの一人だ。 全米50州のほとんどで3月下旬から、各州の知事が次々と感染拡大を防ぐための「Stay-at-home Order(外出禁止令)」を出し、米経済は静止した。 リーダーさん自身の仕事はもちろん、両親が経営するすしレストランも大打撃を受けた。外出禁止令下でレストランやカフェなどの飲食店は、店内での飲食の提供が禁
中国に次ぐ新型コロナ危機の第2の震源地・欧州では、今なおウイルスの拡大が止まらない。そうした中でドイツが死亡率を低く抑えている背景には、同国のウイルス学の専門家たちが、未知のコロナウイルスによるパンデミックを想定したリスク分析を8年前に公表し、政府や議会に警鐘を鳴らしていた事実がある。 今回の新型コロナ危機では、ドイツの対応が世界の注目を集めている。ジョンズホプキンズ大学によると、ドイツの新型コロナウイルス感染者数は約14万5000人と、欧州で3番目に多い(4月20日時点)。だが同国の死亡率は3.2%と、フランス(12.8%)、イタリア(13.2%)、英国(13.3%)、スペイン(10.3%)などに比べて大幅に低い。 死亡率が低い理由は、同国の「パンデミック迎撃態勢」が他国に比べて整っていたことだ。たとえばドイツには今年3月初めの時点で、人工呼吸器付きの集中治療室(ICU)が2万5000床
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