書店で本を選ぶとき、まずオビに目がいくという人も多いだろう。本書を手にしたとき、私の目に最初に飛び込んできたのは「資本主義から自由になる生き方考」というフレーズだった。同じような内容の本を、これまで山ほど読んできた。棚に戻そうとした次の刹那、ひっかかる言葉が目に飛び込んできた。 「効率化するほど時間に追われるのはなぜ?」 その時私は、これと同じ問題意識を抱えて転職した直後だった。SNSやSlack、zoomなど便利なツールを導入して効率化してきたはずなのに、時間的な余裕が失われていくのは何故だろうか。公私の境が曖昧になり、休む間もないモグラたたきのような消耗戦を強いられている気がしていた。 脱出を試みながらも、私はまだ具体的な課題設定ができていなかったのだと思う。本書を読み始めたら、ページを繰る手が止まらなくなった。まるで砂漠に水が沁み込んでいくように、活字が浮かび上がり頭に飛び込んできた