本を読んでも「わかったつもりになっているだけ」のことが多い 篠田真貴子氏(以下、篠田):今度は山口さんにも少しお話を伺いたいです。働く中で、大きな人生の課題に直面した場面がもしあるのであれば、どんなことだったか。ここで言う「教養」とされるものが、その時山口さんにどうつながっていったのか。少しお話しいただけますでしょうか。 山口周氏(以下、山口):僕は働く中でというとあまりなかったですね。一番最初に電通に入って、「何だこの会社は」って思いましたけど。今思うと、もともと大学で文学部だったので、経済学に対する興味とかがなくて、本当に触る程度しかやってこなかったんです。 「なんでこんな無意味なことをやってる会社なのに、給料がやたら高いんだろう?」ということが一番最初の疑問で、そこからいろんなことを調べたりしました。 堀内さんが体験されたような、人格がぐらぐらするような危機的な状態って、僕にもたぶん