「一強」と呼ばれる戦後最長の政権を築き上げた安倍晋三首相。2012年12月に政権に就いて以降、「アベノミクス」をはじめとするさまざまなキャッチフレーズとともに、異次元の金融緩和や各種の成長戦略を打ち出してきた。 新型コロナショックを受ける前の日本経済は、実質GDPが498兆円(2012年、暦年)から535兆円(2019年)に成長し、4%台だった失業率は2%台前半に低下。だが、潜在成長率は0%台前半まで低下し、安倍政権が掲げた2%の物価目標は達成できないでいる。 アベノミクスに代表される経済政策から何を得て、何を得られなかったのか。安倍政権発足直前の2012年5月から日本銀行の金融政策担当理事を務め、2013年3月から黒田東彦総裁のもとで国際担当理事を務めた、みずほ総合研究所のエグゼクティブエコノミストの門間一夫氏に聞いた。 「世の中のムード」を高める効果はあった ――まず、看板政策であるア