本記事は、久保田晃弘さん(多摩美術大学情報デザイン学科 教授)に寄稿していただきました。 『Close to the Edge(危機)』/ Yes 現在の世界の状況は、まさにこのアルバムのタイトル通り縁に近づいている。 (ライブのオフィシャルビデオ:https://youtu.be/BcDU-vilgic) 肯定的デザインの本を開いてみれば、ほぼ間違いなくどの本をみても、その内容は結局のところデザインへの賛辞へと導かれる。ダン&レイビーが『スペキュラティヴ・デザイン』の冒頭で「デザイン特有の楽観主義」と書いたように、伝統的なデザインの世界は、世間のデザインに対する不理解を嘆いたり、誤解を憂うことはあっても、字義通り根拠なき楽天家の集団であるかのような、自己肯定感に満ち溢れている。先が見えないCOVID-19の状況によって、いささかトーンダウンはしたものの、日々紹介される新製品やプレゼンテー